RS1エスプレッソマシンは発売以来、バリスタ達にコーヒー抽出時における異なる温度プロファイル調整機能を提供してきました。特許取得済みのAdvanced Temperature Profilingテクノロジーに加え、RS1ではプレインフュージョンおよびポストインフュージョン調整も可能で、バリスタはこれらの機能を組み合わせて各コーヒーレシピをカスタマイズできます。プレインフュージョンおよびポストインフュージョン機能により、抽出の各段階でコーヒーパックと相互作用する水の温度と圧力を正確に管理できます。
ランチリオが設計したプレインフュージョンおよびポストインフュージョン機能を、ランチリオ・スペシャルティ RS1エスプレッソマシンでバリスタがどのように活用できるのか、詳細を掘り下げて見てみましょう。
使い方
バリスタは、抽出プロセスの初期段階(プレインフュージョン)と最終段階(ポストインフュージョン)の両方で、水道圧あるいはポンプ圧のどちらかを選択することで、水圧を変え、さらに両段階における各持続時間を調整することができます。
使いやすいインターフェースを介して、各抽出グループにおいて、プレインフュージョンとポストインフュージョンの両方の機能を有効または無効にすることも、あるいは2つの機能のうち1つのみを有効にすることも選択でき、各段階の持続時間を調整できます。プレインフュージョン、ポストインフュージョン、温度プロファイルのパラメータはすべて1つのメニューで管理でき、タッチスクリーンをタップするだけでアクセスできます。
プレインフュージョン機能は何のため?
1. コーヒーパックをより均一かつ一定に湿らせることができます。
2. 抽出ごとの品質や抽出量の均一性が向上します。
3. 水とコーヒー粉の接触時間を延ばし、接触面を拡げます。
4. チャネリングのリスクとそれに伴う強い倍音を軽減します。
5. 過剰な濃縮を防ぎ、望ましくない苦味や渋みにつながる成分の過飽和を防ぎます。
6. より多くの油分と成分をカップに引き込み、コーヒーにコク、複雑さ、風味を与えます。
7. エスプレッソコーヒーの良好なクレマ形成を促進します。
抽出時圧力が一定であることの利点:
水の流れが一定であることで、パック内で乱流が起こらず滑らかかつ均一な溶解が得られます。
ポストインフュージョン機能を使用するのはなぜ?
1. 抽出の最終段階におけるコーヒーパックの抵抗を滑らかにします。
2. コーヒーパックを通過する水の溶解、拡散、物理的作用の影響を軽減します。
3. 望ましい溶解成分と風味を保持します。
4. 苦味成分や渋味成分の濃度を下げ、飽和度を下げます。
Advanced Temperature Profiling、プレインフュージョン、ポストインフュージョンの組み合わせで、それぞれのコーヒーのポテンシャルを解き放つ
コーヒーのポテンシャルを調和のとれた官能的バランスに変えるには、カップの中で達成したい結果を考えながら、抽出するエスプレッソごとにコーヒーレシピのさまざまなパラメーターを注意深く設定することが不可欠です。
抽出プロセスにおいては、水の温度が主な影響を与えます。Advanced Temperature Profilingテクノロジーのおかげで、バリスタは水の温度を上げ、抽出のポテンシャルをも高めることができるのです。
ただし、Advanced Temperature Profiling、プレインフュージョン、ポストインフュージョンを組み合わせることで、すべての異なる段階で抽出をコントロールし、望ましいカップ内効果を達成することができるのです。
定温抽出プロファイル(FLAT)のリスク
定温抽出(FLATプロファイル)の場合、水の抽出能力は一定であるため、コーヒー粉の抽出能力を使い果たしたときに、過剰に濃縮される可能性があります。さらに、過抽出や過飽和により、苦味や渋味を与える成分が過剰に抽出されるリスクもあります。
昇温抽出プロファイル(UP)の利点
昇温抽出(UPプロファイル)では、水の抽出能力は、抽出プロセスを通して、徐々に上昇します。このプロファイルにより、初期段階において、低温で抽出できるよりデリケートな成分を考慮しながら濃度を上げることができ、有効抽出時間を延ばすことができます。このタイプのプロファイルでは、バランスの取れた一杯を抽出するために、最後に過抽出にならない範囲で調整することが重要です。
降温抽出プロファイル(DOWN)の利点
降温抽出(DOWNプロファイル)では、水抽出能力は、抽出開始時に最大となり、抽出終了まで徐々に低下します。このプロファイルは、過剰な苦味や渋味の原因となる成分の濃度を低減させます。この場合、甘み、程よい酸味、焙煎によるカラメル化された成分を余すことなく抽出し、まろやかさ、完璧なバランス、濃厚なコクを与えることができる範囲で調整することが重要です。
まとめ
どの温度プロファイル(Up、Down、Flat)においても、プレインフュージョンを適用することで抽出の効果が高まります。それは、最初にコーヒー粒子への水の浸透がより拡がることで、抽出の効果にさらされる表面が増えるためです。温度と圧力が高くなると、溶解、抗力、拡散が大きくなります。
風味を与える溶解成分が増えると、構造とコクを与える全固形物が増え、クレマの網状構造を形成させる脂質が増えると言うことができます。
コーヒーのライフサイクル/保存期間により、抽出レベルは、プレインフュージョン時間と温度プロファイルによって管理されなければなりません。
ポストインフュージョンは、抽出の最終段階を短くすることで、苦味や渋味成分が過剰になりそうなタイミングで、飽和レベルを下げることができます。過抽出のリスクがある場合のコントロール方法としても利用できます。
まとめると、温度管理によって異なる濃度に仕上げることができ、プレインフュージョンとポストインフュージョンの管理によって、低すぎず高すぎない適切な飽和度を得ることができるのです。